身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ(6)
決別
警備部警備第1課に2年3カ月勤務したあと、私は総務部企画課犯罪被害者対策室に転勤した。そして、その1年3カ月後の2000年10月、私は「一身上の都合」で、警視庁を退職したが、それは、事実上の辞職勧告を受けたというのが真の理由だ。
自分で言うのも変だが、私はずっと、八方美人的に職場での人間関係を築いてきたし、仕事に対して自信もあった。しかし、企画課で、私は初めて「うまくいかない」上司に出くわした。
「何が?」と聞かれても、うまく答えられない。とにかく仕事的にも、人間関係的にも「うまくいかない」のだ。
相手もそれを感じていたのだろう。あるとき私は、その上司に「生活指導の個人面接」に呼ばれ、こう言われた。
「おまえ、昔の女とは本当に切れているのか? 金使いも荒いし。おまえの生活態度は『警視庁職員服務規程』違反だ。身を引いたらどうだ?」
上司は、私の過去の不始末や個人情報をしっかり調べ上げていた。辞めさせたい部下がいるときに幹部がとる常套手段だ。
私は辞表を書いた。そのときの私には、
「裏ガネを告発してやる」
などという気持ちは、さらさらなかった。しかし上司は危険を感じたのだろう、機密漏洩防止に必死になった。
「辞めたあとも地方公務員法の『守秘義務』はあるんだぞ」
と、くどいほど私に念をおした。私が家に持って帰る荷物の中身を調べた。妻に、仕事の書類が家にないかどうか確認した。
「裏ガネのことが心配なんだな。身を引く者に、こんな追い討ちをかけるとは、天下の警視庁も、情けないものだ」
私は一抹の寂しさと、「おもしろくない」という気持ちを覚えながら、退職した。
| 固定リンク


![: ニッポンの恥! [別冊宝島Real]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/11gz2HE5fsL.jpg)


