身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ(10)
無力な会計検査院
警視庁機動隊の旅費の不正経理に関する実名告発第1弾「私が手を染めた『警視庁裏ガネ工作』のすべて」(『フライデー』〈2001年8月3日号〉)、第2弾「警視庁『裏ガネ工作』告発を黙殺する当局と大メディア」(同〈2001年8月10日号〉)。これらがほぼ不発に終わり、私は次の手を打った。
会計検査院の内規で「外部情報取扱要領」というものがある。外部からの実名での情報提供に対し、会計検査院が必要と認めた場合、現場に赴いて実地検査をするというものだ。私は、2001年9月、その「実地検査要求」をした。
規程によれば、実地検査の結果は、要求者には知らされないということだが、私は、11月、会計検査院に、他の件で情報公開請求に行ったついでに、検査結果に関する取材を試みた。
静井元義司法検査課長(当時)は、予想に反し、検査結果を話してくれた。最初は、私が情報提供者本人とはわからない様子だったので、途中でそのことを告げたが、話を打ち切るわけにはいかなかったのだろう。
「今回は、手法は言えないけれども、通常の検査とはまったく異なる検査をしました。もちろん、現場では書面審査だけでなく、機動隊員の面接もやりました。しかし、寄せられた情報のような事実は認められませんでした。これだけやって、何も出てこないのだから、不正はなかったと言えます」
単なる取材に対するコメントなら、これはこれで仕方がないだろう。自分たちは精一杯やったというアピールも込められている。しかし、私は情報提供者本人であり、その私が言うことがウソだと断じられたのだ。
私は実体験で不正を知っている。例えば、会計検査院の検査に際し、あらかじめ組織が教育した機動隊員を、面接のために準備しておくことも。
私は、静井課長の自慢気なコメントを聞きながら、暗澹たる気分になった。会計検査院も、用意周到な警察の前には、まったく無力だった。
思えば、会計検査院が、毎年秋に内閣に提出する「検査報告書」で、過去、警察の裏ガネに関する記述は皆無だ。これまでに何度も、全国各地で内部告発があったにもかかわらずである。
「実地検査要求」も実らず、私は、警察に正面から対抗できる「力」を捜し始めた。
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