« 10・22イベント情報(2)
スケジュール
| トップページ | 共謀罪を語る(4)
柳原三佳さん(ジャーナリスト) »

2005年10月24日 (月)

身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ(12)
平沢勝栄衆議院議員

 2001年11月、「ビートたけしのTVタックル」という番組のスタッフから、こんな話が来た。

「番組で警察の裏ガネ問題を取り上げます。大内さんには、まずインタビューで、機動隊旅費の不正経理の実態をしゃべってもらって、それをスタジオで流しながら、たけしさんや他のゲストとトークしてほしいのですが。平沢勝栄さんもゲストで出ます」

 平沢勝栄衆議院議員。今では、対北朝鮮問題でおなじみだが、彼はもともと、警視庁防犯部長、岡山県警本部長、警察庁長官官房審議官などを歴任した、警察官僚である。

 平沢氏が警察で歩いた道筋は、私が告発し続けてきた裏ガネ問題と無縁ではない。むしろ、氏の立場では、細かい仕組みを知らないにせよ、裏ガネで、相当「おいしい」思いをしたはずだ。私は、そんな氏との直接対決を楽しみにしていた。

 インタビューの収録が無事に終わり、スタジオ収録が数日後に迫ったある日、番組スタッフから電話があった。

「申し訳ありません。上の者から、急きょ企画変更の指示がありました。大内さんのインタビューは流しますが、スタジオ入りはボツになりました。残念です」

 理由を聞いても、妙に歯切れが悪い。

「僕らも、はっきりしたことはわかりません。ただ、一部に『大内さんは経歴を詐称している』といった情報もあるみたいで…。それで、『あいつが出るなら自分は出ない』なんて言ったゲストがいるとかいないとか…」

 端的に言えば、平沢氏が、私とは一緒に出たくないと言ったということだ。私は、その連絡を受けたとき、

(政治家に嫌われるなんて、自分も大物だな)

 などと、のん気に考えていた。

 11月26日、番組はオンエアされた。私がインタビューで、

「警視庁の機動隊員に支給されるべき旅費、年間12億円は、すべて警備第1課に不正にプールされて、裏ガネになっている」

 と証言したあと、ビートたけしが言った。

「この問題は簡単だよ。機動隊の人に、『旅費もらってますか?』って聞けばいいんだ」

 すると、スタジオで出演していた、匿名(顔にモザイクがかかり、声も加工されていた)の元警視庁警察官が答えた。

「僕も機動隊にいましたけど、旅費をもらったことはないし、そもそも、旅費の存在も、今初めて知りました」

 ここから、平沢氏の大反撃が始まる。

「これはねえ、この話は、一部特定の人たちが、意図的に話を誇張して、事実をねじ曲げていることですよ。こんなこと、会計検査院が見逃すはずがない」

 お得意の、右手をパーの形に広げて、上下に揺らすポーズで、氏は、怒りの表情を浮かべて続ける。

「だいいち、この大内さんっていう方は、このことで記者会見までしたんでしょう? それなのに、マスコミも全然報道しないじゃないですか」

 私は、まさに「意図的に事実をねじ曲げる、一部特定の者」にされている。

「きちんと隊員に支給されているかを聞けばいいんです。今スタジオにいるような人ではなく、警察庁に。僕は聞きましたよ。警察庁は、『支給している』と、はっきり言っていました」

 政治家に公式に聞かれて、警察庁が「すいません、裏ガネにしています」と答えるわけがない。

 結局、平沢氏の雄弁な「演説」で、番組はまとめられた。私は、本当に悔しかった。私がスタジオにいれば、蜂の一刺しぐらいはできただろうが、これでは、ただの「ウソつき」扱いだ。経歴詐称とまで噂を流されてもいる。

 この「経歴詐称」疑惑が何を指しているのかは、今でもまったく不明だが、誰かが私の経歴を誤って報道したことが仮にあったとしても、私自身が詐称したことは、いまだかつてない。

 私の告発は、ウヤムヤにされ続けている。私は、その当時執筆していた告発本に、一縷の望みを託した。

|

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/133720/6486078

この記事へのトラックバック一覧です: 身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ(12)
平沢勝栄衆議院議員
: