吠える内部告発者たち(1)
元高知県警警部・片岡壯起氏
3月7日、かながわ県民サポートセンター(横浜市)で、「警察見張番例会」が開かれ、元高知県警警部・片岡壯起(かたおか・まさゆき)氏(46歳・写真)が、「信頼される警察」と題する講演を行った。
「警察見張番」は、独立して活動を行っているが、「かながわ市民オンブズマン」における「警察分科会」のような役割を担っており、例会で、昨年は、原田宏二元北海道警釧路方面本部長が、2003年は、私が講演している。
片岡氏は、2003年1月、清水警察署刑事生活安全課長のときに、元部下の収賄事件に巻き込まれ、依願退職に追い込まれた。氏は、これを組織の陰謀だとし、裁判で争っている。
その前年の12月、片岡氏の元部下だった、高橋顕巡査部長が逮捕される。容疑は、管内のキャバレーに対する家宅捜索情報を、事前に店側に漏らしたという、地方公務員法の「守秘義務違反」。その後、キャバレーから、捜査情報の見返りに賄賂を受けていたという、「加重収賄罪」も加わる。
高橋巡査部長が、キャバレーから賄賂を受けていたとされる時期、片岡氏は、彼の上司だった。片岡氏は、講演で、当時のことを、こう語った。
「高橋巡査部長には、そのキャバレーや系列店に、何度か連れて行ってもらいました。料金を払おうとしても、店が受け取ってくれない。結果的に、合計数万円まけてもらったというところでしょうか。県警の捜査2課には、そのことが単純収賄にあたると言われました」
県警によれば、高橋巡査部長が、捜査情報の見返りとして賄賂を受けていたため「加重収賄」なのに対し、片岡氏の場合は、不正行為の見返りとしてではないため「単純収賄」なのだという。
片岡氏は、そのことで、書類送検され、停職6カ月の懲戒処分も受ける。新聞報道によると、取り調べで片岡氏は、容疑を認めたことになっているが、氏はこう語る。
「はじめは全面否定ですよ。何でこれが収賄なのか。もっと上の幹部だって、しょっちゅう行っていた店ですよ。直属の部下に対する監督責任で、懲戒処分は仕方ないとしても、収賄は、まったく納得できませんでした」
しかし、取り調べは、思いのほか厳しかったという。
「捜査2課の取調官は『事実を認めないと逮捕する。認めれば、起訴猶予と停職だけで済む』と迫ってきました。私も、最後には負けました」
片岡氏が憤るのは、ここから先の県警の対応だ。
「私が収賄を認めると、監察(内部の不祥事に対応する部署)が出てきました。今度は、『おまえは収賄を認めたのだから、辞表を書け。書かないなら、懲戒免職にして、起訴する』と言われました。もう、選択の余地はありませんでした」
片岡氏は、停職処分されると同時に、辞表を受理される。
このやり方は、全国の警察で共通だ。懲戒処分を受けた警察官が、責任を感じて自ら辞表を出すというケースは、ほとんどない。それは、組織がつくるシナリオなのだ。「自主的に退職すれば、退職金ももらえるし、『クビになった警察官』という不名誉もないぞ」と、恩を着せて退職させるのである。
多くの警察官は、この「温情」に負け、退職後は何も語らない。しかし、片岡氏は違った。「騙まし討ち」の処分に納得できず、2003年5月、高知地裁に、辞職承認と停職処分の取り消しを求めて提訴した。
「このままでは、家族がかわいそうです。少しでも名誉を取り戻すため、退職に至る経緯を訴えたかった。ただ、難しいとは思っていました。あくまでも、表向きは『自主退職』ですから、それを承認した組織に、取り消せと言うのは、ちょっと変なのかなと」
片岡氏の不安は的中し、第1審は敗訴。しかし、そこで、彼は「明るい警察を実現する全国ネットワーク」の存在を知る。代表の原田氏(前出)に相談すると、氏は一言、「やられたな」と言ったという。
片岡氏は、同ネットワークの事務局長である、清水勉弁護士を代理人に加え、今、第2審で闘っている。
私は、片岡氏の講演のあと、スピーチを求められて、こう述べた。
「警察は、不祥事のウワサが流れると、まず全面否定します。その間に、この問題はどこまで広がるか、誰が何を知っているのか、マスコミの動きは、世論は、と触覚を伸ばします。そして、全面否定が崩れると、次はトカゲの尻尾切りにかかります。そのとき考えるのは、尻尾は何センチ切ればよいのかということです。片岡さんの事件は、いい例です。警察は、『身内に甘い』という日頃の世論をかわすため、無理に尻尾を大きく切ったということです」
件のキャバレーに、片岡氏よりも頻繁に通っていた上級幹部には何のおとがめもなく、警部という中間幹部だった片岡氏は書類送検。こんなことで、現場の士気が上がるはずがない。
吠える内部告発者が、今後どんどん増えることに期待したい。
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元高知県警警部・片岡壯起氏:
» 不祥事で 免職だって 退職金〜不祥事当事者公務員に物申す〜 [コトバノチカラ]
給与は高くないが高額な「期末手当」という名の
自分の意見を自由に言えて
禁固刑以上が確定するほどの
社会通念上の観念を逸脱しなければ
法律で保護・保障されている「身分」
民間企業の厳しい環境化にいる僕にとっては
「公務員」にならなかった僻みといわれるかもしれない
また「守秘義務」等、法律で定められている
ある程度の自由の制約を加味したとしても
やはり民間との温度差を感じずに入られない
でも
僕たちのために「命をかけて」日々
頑張ってくれている公務員の人はいっぱいいる
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