« 共謀罪法案と創価学会・公明党 | トップページ | 共謀罪をとめろ »

2007年5月16日 (水)

共謀罪を語る(7)
野田敬生さん(ジャーナリスト)

Noda  近年、「インテリジェンス(intelligence)」という言葉がもてはやされている。学校英語で習う意味は「知能」。「インテリ(インテリゲンチャ)(intelligentsiya)」=「知識階級」という言葉もあるぐらいだから、「インテリジェンスがさあ」などと話していると、自分が賢くなった気がするのかもしれない。

 もっとも、彼ら彼女らが話題にしているのは、「情報機関」という意味のインテリジェンス。CIA(アメリカ)やKGB(旧ソビエト)、MI6(イギリス)、モサド(イスラエル)が有名である。

 2007年4月6日、政府は、いわゆる「日本版NSC(National Security Council)法案」を国会へ提出した。アメリカのNSCは、大統領、副大統領、国務長官、国防長官が中心となり、省庁の縄張りを取り払い、安全保障問題を議論する。日本でも、首相、官房長官、外相、防衛相が中心の同様の会議を設置しようというもの。これは、安倍晋三首相が前職の官房長官時代から掲げていた構想だ。

 日本版NSCが豊富かつ正確な情報に基づき、議論するため、インテリジェンスの強化が課題とされる。現在、この分野は、内閣情報調査室、外務省、防衛省、警察庁、公安調査庁などが分担しているが、一元化する動きもある。

 政治家や官僚、経済人から一般市民まで、インテリジェンス論議はますます盛り上がっている。そのとき、情報源として利用されるのが、インテリジェンスにかかわっていた元官僚の著作。しかし、事実か虚構かわからない体験談(自慢話)もちりばめられ、直ちに信用するわけにはいかない。

 野田敬生(のだ・ひろなり)さん(36歳)は元公安調査庁キャリアだが、近著『諜報機関に騙されるな!』(筑摩書房)を読むと、内外のおびただしい文献から客観的な分析がなされている。そして、こう結論づける。

《巷間希求されている情報機関強化論は、畢竟(ひっきょう)パズルのピースを充分に集めさえすればミステリーも解けるはずだという、些かナイーブとも言える誤解に由来しているのではないかと思われる。現実には、米国の如く巨大な情報機関群ですら、入手できるピースはごく断片的なものに過ぎないことを直視すべきであろう》(同書「おわりに」より)

 つまり、インテリジェンスに過剰な期待を寄せるのは過ちだというのである。

 野田さんは自分自身のブログ「ESPIO」で、しばしば共謀罪を取り上げている。情報機関強化論と共謀罪創設論には、「テロ対策」という共通項も存在する。

───相変わらず国会で共謀罪法案が審議されていますが、感じられることは?

野田さん 国民の大半が無関心です。共謀罪に限らず、自分と直接、利害関係がないと思えば、見向きもしない時代です。利害関係が発生してからでは、手遅れという物事も多いんですけど、想像力がないため、気づきません。

───国民が無関心ならまだしも、政府から「テロ対策」と吹き込まれ、共謀罪賛成へ流れている雰囲気もあります。

野田さん 小泉純一郎前首相が最たるものですが、現状、ワンフレーズで国民に訴える手法が有効です。共謀罪反対運動もわかりやすくなければいけません。例えば、女性アイドルに「共謀罪反対」と言わせるとか。

───なるほど。それがインテリジェンスの仕事ですか(笑)。

野田さん インテリジェンスの役割は、「情報収集」「情報分析」「防諜(相手のインテリジェンスの活動をブロックすること)」「謀略」と4つあります。

───共謀罪法案が成立すると、盗聴(情報収集)とスパイ(謀略)がはびこります。共謀を捜査するという大義名分が与えられるからです。

野田さん 盗聴は、人員上の制約があるので、対象を絞らなければなりません。電話会社から無差別かつ大量の通話記録を入手し、対象者を抽出する処理方法が発達するはずです。盗聴まで至らなくても、犯罪と無関係な国民多数のプライバシーが侵害されます。

───盗聴で情報を得ても、当局が動くとは限りません。動けば、相手が盗聴に気づきますから。すなわち、当局が犯罪を黙認する可能性もあります。

野田さん 小さな悪は見逃して、大きな悪を取り締まるという考え方です。しかし、悪の大小を、誰がどう判断するのか、結局、歯止めがないまま、犯罪を黙認する方向へ行くと思います。被害者や犠牲者にしてみれば、小さな悪の被害・犠牲でも、大きな悪の被害・犠牲でも、変わりはありません。

───北朝鮮の拉致問題でも、同じことがいえますね。

野田さん 警察庁は、だいぶ以前から北朝鮮が日本人拉致をくり返していることは把握していたが、情報収集上、支障を来さないよう放置してきたとしか思えません。

───スパイとなると、さらに問題は深刻です。

野田さん スパイが機密情報を入手するためには、組織で地位が上がらなければなりません。スパイは積極的に犯罪をくり返す必要があります。こうなると、未然に犯罪を防止するという、スパイを使う目的と自家撞着(じかどうちゃく)します。

───情報機関強化も共謀罪創設も、間違いなく、国民1人1人が影響を受けます。

野田さん 私が著作やブログで説いているのも、そのことなのです。

|

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/133720/15091264

この記事へのトラックバック一覧です: 共謀罪を語る(7)
野田敬生さん(ジャーナリスト)
:

» 今朝の新聞 5/ 21 [にっかんせきぐち]
おはようござます。運の太さも人生を後押ししてくれるマーケティングプランナー・せきぐちです。では、今朝の新聞です。totoの話はもうおしまいです(笑)●リクルート、バイトの採用・研修を一括支援... [続きを読む]

受信: 2007年5月21日 (月) 13時51分