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2013年5月 1日 (水)

反パチンコの動きを「しっかりとつぶしておかないと」と発言した平沢勝栄衆議院議員

20110808【2011年8月8日公開記事】

 6月14日、パチスロメーカーの組合「日本電動式遊技機工業協同組合」(略称『日電協』)が東京會舘(東京都千代田区)で総会を開いた。来賓の平沢勝栄(ひらさわ・かつえい)衆議院議員(写真)の発言が波紋を広げている。

 平沢氏といえば、警察庁保安課長時代(1987年11月~1991年1月)、「CR機」と呼ばれるプリペイドカード方式のパチンコ台の導入を推進したことで知られる。その後、平沢氏は岡山県警察本部長などを経て、1996年に衆議院議員に初当選。国会議員へ転身後もパチンコ・パチスロ業界と関係が深く、業界団体の会合にはしばしば招かれている。

 警察庁はCR機の普及を図るため、これにだけ高い射幸性を認めた。結果、CR機は爆発的に普及したが、パチンコは短時間で何万円も動く賭博そのものとなり、現在に至っている。

 平沢議員は「日電協の総会、おめでとうございます。警察のOBの方も、大勢来られていまして、お会いするたびに、みんな髪の毛が薄くなっています。保通協(財団法人保安電子通信技術協会=パチンコ・パチスロの型式試験を行う警察の天下り団体)の柳澤(昊・ひろし)さん(常務理事=元福岡県警察本部長)見てください。私、前会ったときは、もっと髪の毛あったと思うんだけど、もうほとんど髪の毛なくなってますよ。私たちも年とったなと思います」と挨拶を始めた。

 東京都知事選挙投票日前日の4月9日、現職の石原慎太郎氏(翌日、再選)が街頭で「パチンコは電気のムダづかい」と演説し、話題となった。平沢議員は石原氏の応援で一緒にいたという。

 「(石原氏は)みなさん方の業界はいらないと言うわけです。『電気を大量に消耗している』『(3月11日に事故を起こした)福島(第1)原発の1機ぶんぐらい使っている』と。どう考えても数字がおかしいと思ったけど、石原知事が楽しそうにしゃべっているから、あんまり、あれしなかったんです」

 この石原発言に関して、東京都のパチンコ・パチスロの業界団体「東京都遊技業協同組合」は4月12日に文書で訂正を申し入れている。以下が要旨。

 《一昨日は、ご当選、おめでとうございました。当組合といたしましても、自由民主党東京都連内東京都各種団体協議会からの要請を受け、推薦させていただきました。ご当選の報を受け、ともに喜びとするところであります。そうした中、選挙前日の街頭演説及び当日の記者会見において、貴殿から、大変残念なご発言がありました。福島第一原子力発電所の1号機~6号機の定格電気出力である約470万Kwに対し、東京電力管内の全遊技場約4000店舗での最大使用電力は、約84万Kwであり、瞬間的な数字と、1日当たりの数字を混同されているご発言と思われます。つきましては、こうしたことに対して、改めてご認識をいただき、ご発言をご訂正くださいますよう切にお願い申し上げます》

 平沢議員も「間違った数字でしゃべられたときは、きちっと言うべきではないか。私は、そのあと、いろんなメディアで、これはおかしいと言わせていただいた。石原知事は面と向かって反対しにくい人ですから」と続けた。

 直後、パチンコ・パチスロ業界の内外で波紋を広げている平沢議員の発言が飛び出す。

 「石原知事のお友だちなんかが入って、この業界はいらないという動きがあります。私のところへもメールがいっぱい来ている。この業界はいらないと思うけど、あんたはどうか。これ、あんまり軽く考えないほうがいいですよ。おかしな動きをしているグループもありますから。みなさん方、真剣に考えて、おかしな、あれ(動き)は早めにしっかりとつぶしておかないと、どんな動きになるかわからない」

 平沢議員が言及する「おかしな動きをしているグループ」とは、5月25日に都内で設立大会を開いた「パチンコの違法化・大幅課税を求める議員と国民の会」(小坂英二代表世話人=東京都荒川区議会議員)や、パチンコの廃止を求めてデモなどを行う「在日特権を許さない市民の会」(桜井誠会長)を念頭に置いているとみられる。

 日電協の総会には、警察OBのみならず、川口晃・警察庁保安課長補佐ら現職も招かれている。その席で、元警察庁キャリアの平沢議員が反パチンコの動きを「しっかりとつぶしておかないと」と発言したことは、警察に取り締まりを求めているように聞こえる。

 「パチンコの違法化・大幅課税を求める議員と国民の会」の小坂代表世話人は、こう話す。

 「パチンコはたくさんの依存症の人たちを生み出し、破綻、自殺へ追い込んできた。しかし、パチンコ業界は、政治家へ献金したり、警察から天下りを迎え入れたり、マスコミのスポンサーとなったりして、癒着している。ここにメスを入れないで、逆にパチンコ業界を擁護する平沢議員は、国会議員としての役割を放棄している」

 「在日特権を許さない市民の会」広報局の米田隆司氏は、以下のコメントを寄せた。

 「平沢発言が事実であるなら言語道断で、日本国民の敵として断罪されるべきものと考えます。ましてや日本を汚染するパチンコマネーを断とうとする国民の良心に基づく行動を、ここまで愚弄する政治家は日本には不要です。平沢議員のような議員こそ、今のうちに叩きつぶさないと、どんな動きになるかわかりません」

 平沢事務所は「本人によると、『業界に対する風当たりが強いが、誤った情報に基づくものは別として、業界も反省すべきは反省して、国民の信頼が得られる業界になるべし』といった趣旨で挨拶したそうです」としている。

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